作品
箕面の家
- 専用住宅
設計、工事監理:畑友洋建築設計事務所
構造設計:萬田隆構造設計事務所
造園:石井隆信
箕面の家
大阪府北部に位置する箕面山の中腹に建つ住宅である。この場所は、山を切り開き造成することで生まれた比較的新しい住宅地であり、住宅が立ち並ぶとともにひな壇状の宅地開発がすすみ、いくつか空き地のまま残された区画にかつての斜面がわずかに見て取れる。このような建てこんだ住宅地から少し視野を広げてみると、この場所には周囲の折り重なる山並みや、はるか南方に大阪湾を望むことができる環境があり、箕面山の一部であるという雄大な地勢が感じられることに引き付けられた。このような力強い地勢と一体となり、細かく区画された住宅の敷地という物理的な境界を乗り越え、山の雄大な広がりの中に溶け込んでいくような住まいの認識を浮かび上がらせることができたとすれば、この地に住むことの手ごたえと豊かさを手にすることができるのではないかと考えた。
そこで、敷地に残された自然法面の斜面を造成せず、寧ろこの斜面の延長のように、斜面に連なり斜面そのもののように内外を問わず上り下りできる建築のイメージをえがいた。それは物理的に上り下りするという経験にとどまらず、建築を斜面と接続する、登る対象として知覚できるよう設計するということである。それは、箕面山の斜面の延長としての住まいのあり方であり、住まいのイメージが斜面と連なり山並みに連続することで、山の雄大な広がりの中に住むという認識を浮かび上がらせることができるのではないかという試みである。