作品

五色山の家

専用住宅
設計、工事監理:畑友洋建築設計事務所
構造設計:萬田隆構造設計事務所

鉄道沿いのとても小さな敷地に立つ住宅の計画。
この場所に家族5人のための住まいを計画するにあたり、平面的にも立体的にも小さな気積の中で計画する必要があることから、物理的にこの場所に閉じず、街とつながることで拡がりを生み出すような住まいのあり方と、住まいとしてのそれぞれの居場所を、小さなフットプリントの上に立体的にコンパクトに折りたたむことが必要であるように思えた。そのような住まいが背負う背景から、言うなれば固有の数学的な形式を導き、新しいグリッドのような、ささやかながらも普遍性を持った空間的な枠組みとして展開することはできないだろうか。
初めに、擁壁上の敷地と街路のレベル差をつなぐ、或いは内部で上下階をつなぐ要素として不可欠な階段に着目した。階段を配置するとそれだけで一杯になってしまいそうなフットプリントであるからこそ、この階段に多層的な機能や意味を重ねていくことを試み、街から空までをぐるぐると巻き付けるような、螺旋階段をそのまま空間化したような形式に至った。
この螺旋は、内外をつなぐアプローチであり、階段であり、場をつなぐ吹き抜けであり、内外の居場所を合理的に折りたたんだ空間であり、内部に光や風を導く窓であり、構造における大黒柱でもある。圧倒的な拡がりを持った街と空をつなぐものとして建築を位置づけることで、大きな拡がりの中にある住まいのイメージが浮かび上がり、それは伸びやかに空間を折りたたんでいく、空間的な枠組みのあり様そのものである。

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