作品

障子とは大変優れた間仕切りの仕組みである。何重にも重なる和紙の重なりが、光や気配をこしとり、こちらとあちらの関係を調停する。上部の欄間からは光と天井面の連続から拡がりを感じることができる。
このプロジェクトでは障子の原型として几帳に着目し、几帳として古くから用いられてきた漆を含侵させた木綿をガラスに挟み込み、幾重にも重ねることで、こちらとあちらの光や音、気配を調停しようとする試みである。
木綿は職人の手により天井に向かって少しずつ透過度が上昇し、上部では透き通るような透明度まで薄く織りあげられている。この漆を木綿をガラスに挟み込むことによって自立するスクリーンは、障子から欄間までをまるで連続的に織りあげたかのような新たな几帳となって現れた。
漆はかつて、鎖国していた江戸時代、世界との唯一の玄関口であった九州の力ヨーロッパにわたり、「Japaning」と呼ばれ、まさに日本の文化の象徴であった。このオフィスにおいても九州の地から世界へという思いを込めて、改めて漆という日本の文化に光を当て新たな可能性を模索した。