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House in Shinohara

専用住宅
設計、工事監理:畑友洋建築設計事務所
構造設計:萬田隆構造設計事務所

神戸市六甲にある急傾斜地を造成した場所に建つ住宅の計画である。
敷地は、西側及び南側にある高い御影石積の擁壁の上に位置し、敷地西側にはその擁壁に乗っかる形で人工地盤として、擁壁から跳ねだしたコンクリート工作物が存在しており、また敷地東側には道路面と人工地盤との高低差を吸収するため土留めコンクリート擁壁が設けられていた。このように、急傾斜地と人間との格闘の跡として時代を異にする様々な遺構が残されている場所である。

私たちは、これら大地との格闘の痕跡を強引に取り除いたり、力技で改変を加えるのではなく、この場所の履歴として受け止めた上で、それらを調停する住空間を新たに構築可能な方法の検討からはじめた。
まず、私たちはそれらの人工地盤を構成する不確定な要素への影響を最小限にとどめるべく、既存の遺構の隙間をぬって、4本の杭のみを大地に打ちこみ基礎とし、その上部に浮遊するトラス梁をかけ、この構造を住空間の骨格とすることに定めた。
これは複雑な人工地盤の上に、新たに橋梁を架け渡すといった要領である。
この橋梁のような骨格は、将来この場所にあらわれる外部環境をからめながら浮遊するおおらかな住空間を創り出すことを意図し、橋梁の主構造となる構造フレームから内部空間をオフセットさせている。同時に、この住空間から自律した橋梁の存在そのものが、大地からの浮遊の認識を生み出し、目の前に広がる風景と相まって、傾斜地に浮かぶ巨大な広がりの中に住まいを拡張しようという試みである。

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